老朽大型ビル買収の増加
築浅、大型、優良な収益稼動物件の取得が困難になってきている。こういう物件は払底している。2006年9月、ダヴィンチのオポチュニティーファンドが丸の内のパシフィックセンチュリープレイスのオフィス部分を約2000億円で取得してからはあまりセンセーショナルな取引きは無い。収益還元法価格でのリーズナブルな取引きが瓦解し、破格の値付けが横行しだしたきっかけとなったのもこの取引きからだと思う。Cap Rateは約2.2%、ダヴィンチは現行賃料約4万5千円/月坪を約6万5千円/月坪で改定していて、全て新規賃料になればCap Rateは約1%上がるというシナリオのアグレッシヴなアクィジションである。2007年4月、モルガンが全日空のホテル13ヶ所を2813億円で落札した。全日空が当初見込んでいた売却額は1000億円である。トロフィーであるアークヒルズの全日空ホテル(873室)の価値は、収益還元法価格では(ホテルなのでRevPAR)150億円そこそこにしかならないので(ぶっ壊して)再開発して、さらに高層化して多機能ビルを想定して1000億円以上の破格の値付けにした。このモルガンショックから「バブルではない」との論拠となっていた収益還元法価格によるプライシングモデルが壊れた。
不動産ファンドによるアクィジションは収益稼動物件から開発型へ、さらに再開発型へとその触手を伸ばし値付けは上ずっている。ここしばらくサブプライム問題の影響で、外資系ファンドは一服、静観せざるを得ない状況だが、内外のファンドの攻勢が都心再開発の種地という先物買いで加速すると、遠くない将来、一部の都心一等地はバブル期を越える価格になる。芯を外した二等地の再開発に飛び火しないようにと危惧する。帝国ホテルの株式33%を取得した三井不動産も周辺再開発による価値の最大化を前提としている。帝国ホテルの間接的オーナーのサーベラスには高値で売り抜ける丁度良いタイミングだったのかも知れない。虎ノ門パストラルは、森トラスト&ダヴィンチ連合(相性良さそう)が参考鑑定価格1200億円の1.9倍の2308億円で優先交渉権を取得した。虎ノ門周辺案件だったから森トラストはシナジー効果を期待し、どうしても取りたいディールだった。過日、モルスタのFlad Shumit氏が、まだまだ日本の不動産マーケットは魅力的だとTVの取材に答えていた。同氏がTVに出てきたのは初めて観た。
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コメント
虚空さん
見識なコメントありがとうございます。バブルの認識については同意見です。現在、キャップレートと長期金利とのスプレッドが小さ過ぎます。不動産固有のリスクが軽んじられています(これもバブルと言えます)。デベロッパーは(プロ)私募ファンドを組成し、エクイティー出資者である地銀や年金等と一緒にsame in boatということで出資します。これはレンダーやメザニンを取ってくれる投資銀行の手前ということもあります。おっしゃるとおり出口(転売)戦略が失敗すればboatは沈み、みな損します。逆レバレッジになったら買い手(出口)はありませんから、バブル崩壊ということになります。金融商品取引法が施行され、金融庁のファンドに対する規制も効いてくるとは思いますが、先ずはババ抜きのババは引かないという自己責任が重要なのではないでしょうか。ただ、気をつけなければいけないのはグローバルな資金が相対的に日本の不動産のバリューは未だ低く、イールドは高いと見ていることから世界的な金余りという外圧により収益還元法価格での取引の瓦解を促している側面だと思います。
投稿: fredy | 2007年10月 4日 (木) 21時36分
収益還元法価格取引きが瓦解することをバブルというのではないでしょうか。結局デベロッパーは、これを仕組債(又はファンド)にして転売し、逃げ切ることができるのでしょうが、運用難から仕方なく多少高金利なこうしたバブル商品を買わされた投資家が損切させられてバブルが終焉するということでしょうか。
なにかサブプライムローンの問題と同じ話のような気がしてなりません。今回はそうならないよう格付機関に厳しく査定してもらいたいものです。
投稿: 虚空 | 2007年10月 1日 (月) 23時45分